
園主のルーツとココまで
川島 人(じん)
1981年、茨城県出身
兄の影響により、気付いた時には竹刀を握り、幼少期から高校生までほぼ剣道漬け。お陰で忍耐力は付いたか?
辺りは田んぼばかりの牧歌的な環境で育つ。(この時は自分が稲作農家をやるとは思いもしなかった、、、)
大学は学業優秀により(笑)4年プラス2年、都内で過ごす。
卒業後、人生の方向性を模索しに海外へ旅立つ。
オーストラリア・ニュージーランドで2年、主にWWOOF活動しながら環境保全型のライフスタイルを実践されてるファミリー達と寝食を共にする。
それまでモダンな生活スタイルに慣れ浸った自分にとっては刺激的で、時に大変な事も多かったが日々、心も体も充実感に満ちていた。
帰国して一旦、自然から切り離された仕事に就いてみたが、真面目にやっていても一日の終わりに満たされない自分にすぐ気付き、「もー自分には自然を相手にした仕事しかないな」と悟る。
後に、長野県の有機農家さん、東京都の農家さんを渡り歩き、2013年に地元茨城で就農。
暫くして、現在の妻となる彼女と知り合い、彼女の住んでいた安曇野を訪れる。
春先にも関わらず、真っ白なアルプスに自然の雄大さと景色に圧巻。
元々、環境の変化を求めてフラフラと旅に出てしまうクセもあり、当時地元の方々と良好な関係を築けてきた最中、難しい決断ではあったが「人生は一度きり、やりたい所でやりたい事に挑戦しよう!!」と、2019年に移住。
(茨城はやはり故郷、たまに行けばホッとしますし、出てきて言うのも何ですが魅力がないのではなく、知らない人が多いということですネ)
「自然栽培をやるなら、元々その地域でずっーとつくられてるもの、つくり易い作物がいいよ。何をつくるかは人間じゃなくて、その環境が決めるよね。」
先に移住して、自然栽培を実践されていた先輩農家さんのそんな助言もあり、米どころ安曇野ではメイン作物をお米にしてスタート。

米農家としてはまだまだ至らぬ点が多い、まさに新米農家ですが、どうぞ宜しくお願い致します。<(ーー)>
自分の認識している自分
・社会不適合者
・出不精な割に遠くへ行きたがる
・忍耐、もくもく系人種
好きな言葉
・力戦奮闘(Try my best/全力を出し切る)
・平和は麦や稲で勝ち獲る(故 中村 哲氏)
・農は国の基
今後の世界のキーワード
・環境保全

・和合と共生、多様性
・直線的概念ではなく、グルグルと廻るサイクル的な社会=循環
・健全な種
・適量生産、適量消費
仕事のモットー
・キツイからこそ楽しく!!
・田んぼ、畑には気分よく入れ!!
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生産者に質問してみました。


聞き手:森の住人
森の住人 以下、森:グラサンの太陽が満面の笑みをうかべてますが、
まず園名とロゴマークに込めた想いを教えてください。
川島 以下, 川 : はい。まずロゴのモチーフにしたのは、亡くなった父親の遺影からです。
葬式に使うには大分カジュアルなのですが、父の遺影は満面の笑みでピースだったんですね(笑)
ロゴを作ろうと思った時に真っ先にそれが思い浮かびました。
そして太陽にした理由は、生物が生きていく上で欠かすことのできない大きな一つの要素だったからです。
その他にも生きるために必須なものありますが、何となく、地球外から届くエネルギーであらゆるものを生かしてるところに偉大さを感じたからです。
世界の宗教でも太陽神がよく出てきますし、象徴として一番初めに頭に出てきました。
そして太陽自身が帽子をしてサングラスする必要はないわけですけど(笑)、そこは絵的に面白く見てくれた人にインパクトを残したかったからです。下のギザギザはアルプスです。ピースはそそまま平和を意味してます。
森:
川:
ちょっとタモリさんとモグロフクゾウを思わせますね(笑)
はい、目元はタモリさん、口元は福造です(笑)
RISING SUNと名付けたのは、若い時わずかですが海外に出た事で、自分の育った所を意識させられたのもあり、日本を象徴するものにしたかったからです。
日出国(ひいずるくに)ですから、「日の出」とか「日の丸」とか演歌っぽいのも考えましたが(笑)、ちょっと渋過ぎかなと思って英名にしました。
森:
なるほど、何か勢いがあっていいですね!!
次の質問ですが、数ある職業の中でなぜ農業を選んだのですか?
川:
生きるための基盤だと思ったからです!! っていうとカッコいいですが、その他にもいくつか理由があります。
まず体を動かして働きたいと思ったからです。
農繁期クタクタになって、夜は考え事があろうとなかろうとグッスリ眠れるから(笑)
それから20代の頃、国内外の色んな農家さんを転々としていく中で、キツイ事が多いけどもの凄い充実感のある日々でした。
帰国して一時、違う仕事をしたときに、何とも心が満たされない、真面目にやってるけど一日終わった時にやり切った感がなく、その時に「あぁ、俺には大地と共に汗して働く以外ないな」と思いました。
そして、人の営みとしてこの仕事は凄く人間的で、一年を通して自然の移ろいや四季を感じられる尊い仕事(生活)だなと思ったからです。
森:
優等生的な回答ありがとうございます(笑)
その農業の中でも、農薬や除草剤を使わないというのは分かりますが、肥料さえも入れない栽培方法にした理由はなぜですか?
川:
まず、就農に当たって色々な栽培方法の農作物を食べてみました。
普通に農薬等も使用して美味しいと言われているものから有機栽培のもの、そして無農薬無肥料のもの。
そして、農家さんが丹精込めてつくった作物は栽培方法の如何を問わず、すべて美味しかったんです。
ただ、無農薬無肥料(自然栽培)のものは、口の中、舌だけが美味しいと感じるには止まらず、体にスッーと馴染むし、その作物がもっているバイブレーションがとにかく「自然」で食べやすいと思ったんです。
それから、日持ちがいい事。また調べていけば、田畑に何も投入しない方が環境にとっても負荷がなく、これからの農業だなと思ったからです。
森:
なるほど。食べて美味しくて、健康に寄与して、環境への負荷も低減できるなら一石二鳥、いや一石三鳥ですね!!
川島さんが栽培するに当たって気を付けている事、大切にしている事等あれば教えてください。
川:
実際の圃場における技術的なことでいうと、田んぼは収穫後に耕して秋~冬の間よく乾かします。
これは自然栽培に限ったことではないですね。
ウチではあまり丹念には耕さず、なるべく土の塊が大きい状態で残るように、トラクターの刃の回転はゆっくり、走る速度は速めにして耕起してます。
ロータリーのカバーも上げて、土に接しないようにしてます。そうする事でより大きい土塊を残せるからです。
あまり細かくしてしまうと、せっかく耕してもその後の雨や雪でかたく締まってしまうので、、、
入水前は土によく空気の入る状態にして、乾土効果のUPをはかっています。
また寒さに当てることで雑草を抑えられますから。
それから、圃場によってはコンクリートのU字溝に畔が接している所等は、溝を掘ってさらに内側に畔(内畔)をつくったりもします。そうする事で田んぼ全体の呼吸感が改善されたりします。
その他にも入水はなるべく晴れた日を選んで水温を下げないようにしたり、夏場は逆に同じ水が停滞して藻が発生するほど高温にならないように、排水しながら新鮮な水に入れ換えたりとか、教えてもらった事や自分なりに良かれと思った事を試しています。
森:
田んぼ作業って一見、単純にみえますけど実際は細かいところに気を配るのですね。
川:
はい、自然栽培はとくに肥料も何も与えない分、細かいところを丁寧にやらないと生育に影響がでます。
まだまだ観察眼を磨いて、改善していくところがあると思います。
森:
除草はどうされてるのですか?
川:
除草は、3条用水田除草機で田植え後5~7日で一回目、その後は7~10日おきに順次入ります。
8月過ぎて田んぼに入ると稲の根っこを痛めるので、なるべく小さいうち、7月後半までに最低3回は入ります。
手除草が一番丁寧で確実、そしてエコですが、一人ではやり切れない面積なので、苗がある程度大きくなるまでの間、草に負けないように除草機で常に水を濁して、水面下に生えてくる草たちの光合成を抑え、稲優先で育ってもらうことをイメージして作業してます。
森:
なるほど。田植え後はひたすら田んぼをかき回して、草を取るというよりは抑えるといった感じですね。
川:
ええ、「抑草」といった方が正確かもしれません。でも人手があればしっかり手除草もしたいです。
森:
気持ちの面で意識していることなどありますか?
川:
はい。田畑に入る時気を付けていることは、「負の感情」を持ち込まないことです。
人の想いとか想念みたいなものってエネルギーを放ってると思うんですね。なので、イライラとかムカムカした想いは持ち込まない、あるいは普段からそうならないように捉え方を自分の都合のいいように解釈して、気分良く過ごすようにしています(笑)。
作物も生き物だから、不機嫌とか怒りとか伝播すると思うのでイキイキ想念をばら蒔きながら田畑を歩き回ります!!
森:
いいですね、きっと作物も気分よく育ちますね!!
今後の課題などはありますか?
川:
やっぱり環境問題ですね。農業って田んぼや畑だけではなくて、その周りの環境も影響しますから。
私は移住してまだ数年ですが、地元の方々からは年々暑くなってるし、雪の降る量も回数も大分減ったと聞いています。冬の北アルプスに入って仕事される方も、この数年は特に雪が少ないと言ってました。
森:
それは私もま近で感じてます。
雪が減っているという事は、その雪解け水も平地には降りてこなくなるし、地下水も減りますよね。
雨がたくさん降れば補えるかといえばそう単純ではなく、やはり山から下りてくる過程で山々の土中の微生物たちがフィルターの役割となって、ワサビができるほどのキレイな水となって湧いてくるわけですよね。
川:
そうです。安曇野の田んぼの水もアルプスが源流だから、今後気候が変わっていくとお米の質にも影響あると思います。お米の善し悪しは水が決め手、とはよく言われます。
森:
温暖化は特定の地域だけで起こってることじゃないから、一人一人が地球を意識した行動をすることで好転させるしかないでしょうね。
川:
そうですね。でも農業って農機を使わないわけにはいかないし、現状は化石燃料なしには経営できません。
牛馬に戻るのも現実的でないし、おそらく水素を燃料にすればいいと思いますけど、普及には時間がかかるかなぁ?
森:
確かに水素であれば負荷がなくエネルギーが循環しますね。ただ、水素を発生させる電力自体が石炭火力や原子力では根本的な改善はできないですよね?
川:
仰る通り、そこも問題...
電力をオフグリッドにして、そして水素を供給するステーション等も必要です。水素トラクターは開発されてますが、それらを充分に使える環境が整えば化石燃料に頼らない農業が可能かもしれません。
多分、本気で取り組み始めたらそんなに難しくないのかもしれませんけど、そうなった時に石油を売って成り立っている国々はどうするのか?とか、国の経済とか一部の人達の利権なども絡む問題だと思います。
森:
ん~、一筋縄ではいきませんね~、、、
川:
取りあえず、サイズの大きい問題は行政に関わる方々にガンバって頂いて、一百姓としてはまず自分の身の回り、生活様式から変えていきたいと思います。
オーストラリアでは自給自足のパーマカルチャー園でもよい経験をさせて頂きました。
全てが自然の環の中にある暮らし。少しずつ実現していきたいです。
それと、木を植えることも大事だと思います。脱炭素もですけど、乱開発で森が減っていく事も温暖化のみならず、その周りの土中環境も変わってしまうと思うし...
森:
そうなんです。森の住人としては最近、居心地が悪くて。
野放しの森や林でも良くないですけど、やはり人間が過不足なく手入れして、自然の好循環を保っていく事が必要ですね。
川:
はい。やり過ぎも良くないし、手つかずでも良くない。田や畑も同じだと思います。
その環境なり作物が心地よいと思える手助けをしていくのが百姓の役目だと思ってます。
栽培の現場のみに止まらず、そこへ繋がっている環境全体もよく観て、関わっていきたいと思います。
森:
課題が多くて話が尽きませんが、今日はこのくらいにしましょう。
私も森を整えに帰ります。 川島さんガンバってください!!
今日はありがとうございました。
川:
こちらこそ有難うございました。
また豊かな森へ遊びに行きます!!

*以上、園主による独りインタビュー、独りアンサーでした^^
清らかな水を育んでくれる森、それを運んでくれる川。
年月をかけ田んぼへも注ぎます。
次世代以降も安心して食べられるコト、住めるコトを意識して、環境保全型の農業を続けていきます。

